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第29回(2013)日本図書館協会建築賞の結果について

図書館 図書館建築 図書館見学

図書館雑誌8月号で今年の日本図書館協会建築賞が発表されました。受賞館は以下の2館でした。

 以下、いつも通り、情報をまとめてみました。

 

金沢海みらい図書館

公式HP:http://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/umimirai/index.html

延床面積:5,439㎡

蔵書収容力:40万冊

開館年:2011年5月21日

設計:シーラカンスK&H株式会社*4

自動書庫:14万冊(日本ファイリング製)

 

 【受賞歴】

 

【設計・計画等】

 

 【関係業者】

 

【ニュース】

 

【雑誌記事】

 

【動画】

動画で紹介されているものがあり、動画だとやはり全体像がわかりやすいです。以下、埋め込みの2件はおススメです。

新建築2011年7月号「金沢海みらい図書館」シーラカンスK&H

 

金沢ウラガワ探検隊(金沢海みらい図書館編)

 ※Umimirai Library(YouTube)はありなのかな??

 

【感想】

様々な情報や映像などを見て、とりあえず吹き抜けの高さによる解放感がすごいと思いました。また外観も目立ち、丸窓も印象的です。個人的には小布施や武蔵野プレイス、ゆうき図書館などとデザインや雰囲気が近く、通じるものがあるような気がしました。

 

整備方針としては、「地域に根ざした図書館」、「新しいランドマークとなる図書館」、「地域の新しい情報拠点としての図書館」の3点を策定されたらしいのですが、来館者数も1年4か月で100万人、2年間で延べ5万人が交流ホールを利用した実績があるということ、また多くの賞を受賞していることからも、かなり目標が達成されているのではないでしょうか。

特に多数のメディアで取り上げられ、今回情報源として挙げませんでしたが海外の雑誌などでも取り上げられているようで、設計会社のPRがうまいのかな?設計会社のHPでも掲載情報がまとめられていてわかりやすかったです。

 

一方、図書館や市のHPでは受賞情報等のまとめなどが載ってなく、ちょっともったいない気がしました。建築関係の雑誌などにも多く取り上げられ、様々な賞を受賞しているので見学者も多いらしく、撮影者も増えているようなので、画像公開など情報発信と記録を充実させると見学者も受入側も負担が減りますし、また後世への記録という面でも期待したいところです。

 

あと個人的には、北前船関連資料のある「日本海情報コーナー」が気になりました。関連して、以前、鳥取県立図書館を訪問した際、「環日本海交流室*5」で中国・韓国・ロシア関係の資料を興味深く拝見したのを思い出しました。福岡はじめ九州だとアジア関係の資料コーナーが多いのですが、日本海側はまた独自の文化・郷土資料が多そう。いつかぜひ訪問してみたいところです

 

南相馬市立中央図書館・市民情報交流センター

公式HP:http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/23,html

延床面積:5,397㎡

蔵書収容力:57万冊

開館年:2009年12月12日

設計:株式会社寺田大塚小林計画同人*6

 

【受賞歴】

 

【設計・計画等】

 

【関係業者】

※スライドショーになっており、画像が再生されます。

 

【ニュース】

 

【雑誌記事】

 

【動画】

 ※個人撮影かと思いますが、貴重な映像記録だと思います。

 

【感想】

ホームページのTOP画像を見た瞬間、館内がどこかに似てるなぁと思ったら、設計会社は伊万里市民図書館なども手掛けているようで、言われてみればとどことなく雰囲気が似ていると思った次第。

 

こちらは建築段階で入札でいろいろ苦労されていたようで、「CM(コンストラクション・マネジメント)方式」というやり方を導入されていたのですね。正直、これまで知りませんでした。(CM方式の詳細は国土高中小の「CM方式活用ガイドラインについて*7」を参照されてください)

【CM方式とは】

「建設生産・管理システム」の一つであり、発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。

我が国では、従来は、一括発注方式が多用されており、施工に関するマネジメント業務は主に元請業者(総合工事業者)が担ってきた。

(CM方式活用ガイドラインについてより一部抜粋)

 

また南相馬市というと、どうしても震災の影響が心配されるが、図書館自体は地震による損傷はなく、図書もほとんど落下しなかったとのこと。(saveMLAKの施設情報も参照

ただし、南相馬市自体は地震、津波、原発事故による被害が大きく、一部地域が避難指示区域となっており、図書館の再開まで5か月かかっており、我々の想像がつかない相当のご苦労があったと思います。今回の建築賞の受賞をきっかけに、今後の図書館活動がより盛り上がることを祈るばかりです。

 

なお今回ちょっと気になったのは、受賞館が「南相馬市立中央図書館」ではなく「南相馬市立中央図書館・市民情報交流センター」と、複合施設となっている点です。これってあくまで名称のみなのか、込みでの評価なのだろうか?

双方のホームページを見ると、複合施設な感じがあまり伝わってこないので、できればもっと情報を共有し、施設等の情報も掲載し充実させていく必要があるように思いました。

 

その他の応募状況

今年は応募が公共図書館が5館、大学図書館が1館の計6館と、ここ数年の申し込み状況と変わりなく(少なく)、大学図書館は3年連続で受賞なしとなっています。

 

選考経過で、最終選考に残ったのは3館とあり、受賞を逃したもう1館は「秋田県南部の日本海に面する」、「複合施設」とあり、おそらく由利本荘市図書館?複合施設は由利本荘市文化交流館カダーレ

大学図書館は増築部分が対象、学生の自主的な学習の場を増築など、少しヒントとなる情報がありましたが、図書館年鑑2012の新しくできた図書館の頁も参照してみたのですが、どこなのかちょっとあたりがつけられませんでした。

 

明治大学和泉図書館や武蔵野プレイスなど今回は申請がなかったようですが、今年の南相馬市中央図書館など2009年開館の施設も申請・受賞していますので、ここ数年に新しくできた図書館も応募年をいつにするか、競合との兼ね合いも気になるところです。またここ数年、図書館が多数オープンしてますので、また来年を楽しみにしたいと思います。

 

いづれにせよ、受賞館の表彰は、全国図書館大会で行われるはずなので、今年の11月に福岡でということになりますね。今年の図書館大会は興味ある分科会もあるのと、地元福岡での開催となるので、ぜひ参加したいところです。

 

【関連する過去記事】