オープンキャンパスに続く、WEEKDAY CAMPUS VISITという新たな取り組み

すっかりオープンキャンパスは、国立・私立問わず、どの大学でも実施されるイベントとなりました。特に夏休み期間となる7月下旬から8月は多くの大学の日程が重なり、受験生側もどの大学のオープンキャンパスに参加するか悩ましいところだと思います。都内のように大学が密集しているエリアだと、2~3校はしごしている人達も多いようです。(オリジナルバッグを複数持って歩いてる人たちを8月の週末はよく見かけます)

 

高校生のオープンキャンパス参加状況

オープンキャンパスの意義や内容、コストなど実施に対して問題視する声もありますが、以下のような調査を見ると、やはり大学側としてはオープンキャンパスを実施せざるをえない時代にあるように思います。

 

2013年にリクルート進学総研によって行われた「高校生の進路選択に関する調査(進学センサス2013)*1」では、大学進学者の93.4%が参加、参加校数は平均3.66校という結果となっており、高校生のほとんどが複数校のオープンキャンパスに参加しているということになります。

高校生は完全に参加した大学を比較し評価しているわけで、実施する側は他大学の実施状況や内容を把握していないと、逆にオープンキャンパスに来てマイナス印象を与えてしまう可能性もあります。常に実施内容の精査が必要ですね。

 

また株式会社ライセンスアカデミーが2010年に行った「オープンキャンパスに関するアンケート調査報告書(PDF)*2」では、「進学するかどうかは「雰囲気」を重視している」、「オープンキャンパスに参加し、進学したいと思う高校生が7割」という結果が示されており、オープンキャンパスでの印象が大きく進路決定に影響していることが伺えます。

実際、百聞は一見に如かずで、大学に行ってみると、自宅からの距離感やキャンパス周りやキャンパス内の様子など、大学のイメージががよくわかります。学びのピラミッドと同じく、実際に自分の目で見て聞いて、体験することでより理解度が増すので、至極当然なことだと思います。

 

ただ、どの大学もオープンキャンパスは、若干(?)よそ行きで、良いイメージを売り込もうとあの手この手の企画を用意し、万全の受け入れ態勢で実施しています。ということで、「ここで差がつく! オープンキャンパス徹底活用法【受験生編】(Benesse(ベネッセ)教育情報サイト)」にも書かれていますが、オープンキャンパス以外の平日に行って普段のキャンパスの様子を見ることも大事だと思います。

 

WEEKDAY CAMPUS VISITとは

そんな折に昨年から出てきたのが、「WEEKDAY CAMPUS VISIT(ウイークデー・キャンパス・ビジット)(以下WCV)」という取り組みです。この取り組みは、NPO法人「NEWVERY(ニューベリー)」が企画しており、すでにいろいろな大学で実施されているようです。(NEWVERYは日本中退予防研究所の運営なども行っています)

 

しかもWEEKDAY CAMPUS VISITディレクター&進路づくりプロデューサーは、「大学プロデューサーズ・ノート」の倉部史記さんです。

 

WCVのホームページでは「大学生と同じ授業に参加し、大学の学びを理解する1日」とあり、また以下のように説明されています。

高校生が普段の大学キャンパスで、大学生と同じ授業に参加するプログラムです。専門のトレーニングを受けた認定WCVコーディネーターがガイドし、皆さんと一緒に大学について、そして進路について考えを深めていきます。高校生のための模擬授業を行うオープンキャンパスとは違い、大学生が実際に受けている「普段の授業」を受講するので、その学部の学びの内容や、授業の進められ方、大学生の様子などをリアルに知ることができます。参加費は無料です。

 

こちらはWCVのサイトに掲載されいてる図です。とてもわかりやすい!

 http://wdcv.net/_src/sc1022/130226WCV82C6OC82CC88E182A2.png

(出典:WCVとは (WEEKDAY CAMPUS VISITホームページ)

 

私も高校内説明会など高校生に大学選びのポイントを説明する際、「必ず1度は受験しようと思う大学に行ってみること(カタログだけ見て買わずに、必ず試着しましょう)」、「同じ学部学科でも大学によって学ぶ内容や学び方が全然異なる(ゼミの有無、教員の専門分野を比較しよう)」など言っていますが、こちらのサイトにも同様のことが書いてあって、ちょっと安心しました。

 

しかしこのWCVでは、実際の授業体験に加え、授業前と授業後に認定WCVコーディネーターによるレクチャーまである充実ぶり。この専門家によるフォローはかなりポイント高いと思います。また平日に実施するので、ある種大学生が就職前にインターンするのと似たような感じですね。

 

高校側もここまで進路指導のサポートはできないでしょうし、高校生も普段のオープンキャンパスでは得られない体験ができますし、大学側もPRの機会にもなり(ちゃんとした内容が実施できていればですが・・)、大学生にとっても貴重な体験となるので、関係者全員にとってメリットのある仕組みだと思います。私自身も普通にこれに参加して、他大学の様子を知りたいぐらいです。

 

県民の日や学園祭を活用した大学訪問

 「10/1(火)東京都民の日にWEEKDAY CAMPUS VISTIに行こう!」という取り組みもいいなと思いました。県民の日の行き先はディズニーだけでなく、大学でもいいわけで。進路を真剣に考えている生徒にとっては絶好のタイミングだと思います。

 

WCVに限らず、多くの大学でも常時見学対応しているところも多いので、県民の日は普段の大学の様子を見るチャンスです。また秋は学園祭シーズンでもあるので、学園祭を楽しみながらキャンパスの様子を楽しむというのもありでしょう。最近は学園祭でも筑波大学のように研究成果を報告したり、プレゼンバトルをやっているケースもありますし、学びの取り組みを知る機会にもなるかもしれません。

 

これまでのWEEKDAY CAMPUS VISITの取り組み

過去の実施例として、立教大学の取り組みが動画で公開されています。各セッションの一部、数分の動画ですが、倉部さんのまとめの部分を紹介がてら掲載します。一部しか見られませんが、充実した内容なのが伺えます。

 

 

運営側にインターンされている方のレポートもあました。こちらはスケジュールや写真などに加え参加者のコメントもあって、とても参考になります。しかし、どこもアクティブラーニング的な取り組みをかませてあるなぁ。

 

こちらは実際に参加した高校生のレポートです。非常に大満足な様子が伺えます。

 

今後の実施予定大学や、これまでの実施大学のリストも公開されています。先ほどの立教大学はじめ、法政大学、中央大学関東学院大学、追手門学院大学京都大学など様々な大学で実施されているようです。(京都大学は思わず2度見しました)

 

実施した各大学もホームページで広報しています。全部ではないですがいくつかピックアップしてみました。

 

今後、WCVへの参加者が増えて行けば、各大学も徐々に追随することが考えられます。というかWCVに参加してくる高校生自体、やる気に満ちている人達でしょうから、オープンキャンパ以上に大学を知ってもらう機会となり、大学側としてもいい人材の確保につながる可能性が増えるのではないでしょうか?

いずれにせよ大学関係者、特に入試業務に関係する教職員は、このWCVの仕組みなど把握しておくべきでしょう。今後もWCVの取り組みについて注目していきたいと思います。

 

なおタイムリーに、10月に大学関係者向け説明会が予定されているそうです。

[東京]
日程:10月7日(月)15:00~17:00 (14:30受付開始)
定員:15名
会場:NPO法人NEWVERY事務所(JR大塚駅より徒歩5分)

[福岡]
日程:10月8日(火)15:00~17:00 (14:30受付開始)
定員:15名
会場:深見ビル(JR博多駅より徒歩3分) 

[名古屋]
日程:10月9日(水)15:00~17:00 (14:30受付開始)
定員:15名
会場:ウインクあいち(JR名古屋駅より徒歩5分)

[大阪]
日程:10月10日(木)15:00~17:00 (14:30受付開始) 
      10月11日(金)16:00~18:00 (15:45受付開始)
定員:25名
会場:貸会議室 ユーズ・ツウ(JR大阪駅 桜橋口より徒歩5分)

 

大阪では10月11日(金)10:00~15:30に「授業が生まれ変わる!学生理解を深めるFDセミナー」も開催とのこと。詳細はこちら

 

キャリア教育

最後に、進路選択に関して参考となる情報を紹介します。

1つは、私も参加したかった「教育ITソリューションEXPO」で倉部さんが講演されたセミナーです。こちらは動画が公開されており、WCVに関する説明もあり、大学関係者必見です。というか、高校生のみならず、大学生はじめ就職含め進路や人生を考える人にとっても参考となる内容となってますので、ぜひご覧になってみてください。

 

セミナーのなかで触れられていましたが、「小学生の65%が大学卒業時に今はまだ存在していない職業につく」という話もあります。正直、そんなに!!と思ってしまいました・・。いかに主体的に進路を考えられる力を身につけるか、キャリア教育支援も今後重要になってきそうです。

 

もう1つは実際に教材はダウンロードしていませんが、高校の先生向けの教材が無料でダウンロードできるようになっています。ご参考まで。

 

実際、以下のように大学進学のミスマッチも増えているわけですし、できるだけ高校生には納得のいく大学選びをしてもらいたいところです。

 

自分も少しでも高校生や大学生の進路選択の参考となるような説明やアドバイスができるよう精進していきたいと思います。