2014年2月中旬時点、主要私大・入試志願状況まとめ

この時期、大学関係者にとって気になるのが入試志願状況。一喜一憂してはいけないと思いつつも、他大学の動向や受験生の反応がどうしても気になってしまいます。ニュースやブログ記事もいくつか出てきました。

 

ということで、昨年に続き出願状況のチェックしてみました。

 

今回は代々木ゼミナール 2014年私立大学の出願結果(193校)*1をメインで参考にさせて頂き、こちらのリストにない4校(東邦、共立女子、国士舘亜細亜)については、大学通信キャンパスナビ ネットワーク さんが公開している志願者速報*2の情報を参考にさせて頂きました。(結果、合計197校が対象)

 

参照したデータは2014年2月15日現在のもので、まだ募集期間が残っているため、最終的な確定人数ではない点にご注意ください。また大学の公式サイトからの情報ではなく、代々木ゼミナールさん、大学通信キャンパスナビ ネットワークさんが集計したデータを参考にしている点も考慮の上、ご覧いただければと思います。

 

また個人的に気になっているのはネット出願の動向。全私立大の約15%が、何らかのかたちでネット出願を実施しているそうです。東洋大・武蔵野大・近畿大がほぼ全面的、中京大も一般入試で完全にネット出願とのこと。ネット出願を実施している大学については以下の情報を参考に、比較情報に加えてみました。(ネット出願といっても対象学部が限定されていたり、ネット割引、併願割引など大学によって条件は様々です)

 

志願者数

まずは志願者が多い順です。3万人以上を対象にしました。ネット出願を実施している大学には「○」を、ネット出願のみの東洋大学近畿大学は「●」としました。

 

  学名 2014 2013 増減数 Net
1 早稲田 105,424 106,768 -1,344  
2 明治 104,456 109,150 -4,694  
3 法政 94,809 89,047 5,762
4 近畿 91,073 81,991 9,082
5 日本 84,910 78,745 6,165
6 立命館 79,101 74,652 4,449
7 関西 75,765 76,898 -1,133
8 中央 71,916 81,713 -9,797
9 立教 63,934 71,096 -7,162  
10 東洋 52,855 61,172 -8,317
11 同志社 52,742 51,163 1,579  
12 東京理科 47,844 47,243 601  
13 関西学院 45,497 47,361 -1,864
14 福岡 45,427 44,432 995
15 慶應義塾 42,398 42,785 -387  
16 東海 39,460 38,016 1,444  
17 龍谷 34,418 32,792 1,626
18 芝浦工業 34,184 33,215 969
19 京都産業 33,264 27,728 5,536
20 駒澤 32,314 30,026 2,288  
21 東京農業 32,115 30,888 1,227  

 

早稲田大は確定ですが、明大はセンター後期の募集があり、どこまで増えるかが明大の5年連続首位になるかの鍵となっているようです。ただし、近畿大もまだ後期日程の募集を行っており、昨年は約1万6000人との情報もあるので、もしかしたら近畿大が首位を取るかもしれません。しかし近畿大は2012年は65,568人、2013年が81,991人、今年が現時点で91,073人と、ここ数年で一気に受験生が増えててすごいですね。

 

増減数(昨年比)

単純に志願者が多い順ではなく、昨年比での増減数順です。1000人以上の増減を対象としました。

 

  学名 増減数 昨年比 Net
1 名古屋外国語 11,284 290.60%
2 近畿 9,082 111.10%
3 摂南 6,897 165.40%
4 日本 6,165 107.80%
5 法政 5,762 106.50%
6 京都産業 5,536 120.00%
7 立命館 4,449 106.00%
8 千葉工業 4,278 117.60%  
9 国士舘 3,150 124.69%
10 神戸学院 2,558 131.00%
11 名城 2,528 110.30%
12 駒澤 2,288 107.60%  
13 上智 1,957 107.40%  
14 工学院 1,929 115.60%  
15 龍谷 1,626 105.00%
16 同志社 1,579 103.10%  
17 明治学院 1,513 106.20%
18 創価 1,445 118.20%  
19 東海 1,444 103.80%  
20 拓殖 1,364 125.00%
21 大阪工業 1,313 113.00%
22 北里 1,290 107.50%  
23 東京農業 1,227 104.00%  
24 愛知 1,178 107.20%  
25 実践女子 1,099 126.30%  
26 大妻女子 1,058 122.30%  
27 東京工科 1,046 109.70%

 

まずは増えた大学。近畿大、摂南大はネット割引きを実施しているので、ある意味納得。しかし、名古屋外国語大の増加がやたら多いと思ったら、入試方式をどのように組み合わせて出願しても上限35000円という「ネット出願フリーパス(PDF)*3」という定額制を始めていました。うーん、確かにこれだと受験しなくても、とりあえず全部に出願する人も多いだろうから、志願者数は増えるだろうなぁ。大学関係者的にはそれを志願者としてカウントするのはあり?、という気もしますが、受験生からすると便利かつ安心の制度ですね。(出願はしたけど実際は受験しない入試日も多い気がする&出欠確認が大変そうな・・)

 

  学名 増減数 昨年比 Net
1 中央 -9,797 88.00%
2 東洋 -8,317 86.40%
3 立教 -7,162 89.90%  
4 明治 -4,694 95.70%  
5 関西学院 -1,864 96.10%
6 大阪産業 -1,843 44.10%  
7 早稲田 -1,344 98.70%  
8 西南学院 -1,211 94.10%  
9 大東文化 -1,203 91.30%
10 関西 -1,133 98.50%
11 文教 -1,106 92.90%  
12 獨協 -1,001 93.40%  

 

こちらは減少した大学。うーん、わりと個人的に馴染のある大学が並んでますが、現在も募集中の大学もあるので、この部分はまだまだ変動がありそうです。

ただ、気になるのは紙の大学案内、願書をやめた東洋大学。まだ確定ではないとはいえ、ネット出願に完全移行している大学としては志願者の伸びがいまいちな気が・・。出願はともかく、紙の大学案内がないと志願につながらず、まだまだ大学案内は必要という結果になるかもしれませんね。なんだかんだで手元に物理的な案内があるのは影響が大きい気がします。いずれにせよ、東洋大学の今後の志願動向に注目したいと思います。

 

あと大阪産業大学はやはり「やらせ受験」の水増し分の減少&イメージダウンでの受験回避による影響でしょうか。昨年比も現時点で44.10%と大幅な減少となっています。

 

倍率順

志願倍率(志願者数を募集人員で割って算出)について多い順です。

 

  学名 募集 志願者 倍率 Net
1 名古屋外国語 309 17,205 55.7
2 愛知医科 80 3,026 37.8  
3 聖マリアンナ医科 100 3,503 35.0  
4 青山学院 578 19,770 34.2  
5 畿央 240 7,747 32.3  
6 獨協医科 130 4,011 30.9  
7 千葉工業 979 28,528 29.1  
8 芝浦工業 1,209 34,184 28.3
9 近畿 3,337 91,073 27.3
10 金沢医科 120 3,125 26.0  
摂南 671 17,439 26.0
12 京都産業 1,288 33,264 25.8
13 東京理科 2,019 47,844 23.7  
14 明治 4,673 104,456 22.4  
15 関西 3,413 75,765 22.2
16 専修 638 14,064 22.0  
17 立教 2,920 63,934 21.9  
18 昭和 351 7,157 20.4  
19 法政 4,690 94,809 20.2
立命館 3,914 79,101 20.2
立命館アジア太平洋 145 2,929 20.2

 

名古屋外国語大は前述のとおりネット出願フリーパスの影響だと思いますが、全体的に医学や理工系、有名大学が多いですね。

 

河合塾の調査によると、全統マーク模試におけ る文理別の受験者数の推移は、文系が2008年~2013年まで14.8万人→15.2万人→15.4万人→15.2万人→15.4万人→→14.9万人とほぼ横ばいだったのに対し、理系は11.3万人→11.4万人→12.3万人→12.9万人→13.7万人→13.9万人と右肩上がりになっています。2~3年後、理系が上回りそうな勢い?

 

感想

今年の最終的な入試結果がまとまると、ネット出願のある程度の評価が得られるでしょうし、出願料のカード払いをはじめ出願の仕組みなど、受験する側の手間を簡略化できるところはもっと改善していく必要性があると思います。

少子化といわれるなか18歳人口がいまは踊り場で、進学率の上昇もあってなんとか全体の受験者数の減少は免れていますが、2018年から減少が始まるので、それまでに教育改革、施設整備など大学改革を行っておかないと、本当の大学淘汰時代に突入してしまいそうです。

入試結果は、外部からの大学評価の1つの指標であるので、結果は結果と受け止め、本質的な教育内容の充実とともに、高校生はじめ社会にしっかりと大学の魅力を伝えていきたいところです。