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図書館総合展フォーラム2014 in 白河に参加してきました

2014年3月3日(月)に開催された図書館総合展フォーラム2014 in 白河に参加してきました。忘れないうちに自分なりの報告を。

 

日時:2014年3月3日(月) 10:30~19:30
会場:白河市立図書館(福島県白河市
テーマ:東日本大震災と福島-震災後の情報提供
    オンラインデータベースの活用-その課題と可能性
公式HP:http://2014.libraryfair.jp/node/1977

 

10:30~10:40 開会挨拶、後援者挨拶

10:40~12:00 基調講演:震災を記憶する図書館‐南相馬市立図書館の取組み

12:00~13:30 お昼休憩兼企業ブース見学

13:30~14:40 パネル討論1:東日本大震災と福島-震災後の情報提供

14:40~15:10 休憩兼企業ブース見学

15:10~16:30 パネル討論2: オンラインデータベースの活用-その課題と可能性

16:30~17:20 白河市立図書館見学

17:30~19:30 レセプション

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基調講演:震災を記憶する図書館‐南相馬市立図書館の取組み/早川光彦氏(南相馬市立中央図書館 副館長)

南相馬市立中央図書館は、2009年12月12日に開館した新しい図書館であり、第29回(2013)日本図書館協会建築賞を受賞している。

蔵書収容力57万冊で、震災当時、図書館自体は地震による損傷はなく、図書もほとんど落下しなかったそうである。ただし、南相馬市自体は地震津波原発事故による被害が大きく、職員も避難対応などに追われ、中央図書館は8月9日から再開している。なお避難地域はまだ存在し、全体的に子供の利用者が減ったとのこと。子供がいないということは、その親である30代~40代の世代もいないことを意味している。


早川氏は茨城県取手市の避難所先での勤務(4月~6月)などを経て、10月1日に図書館に復帰。震災や原発資料の収集なども担当。地域によっては生活優先で資料費の削減など行われる自治体もあったが、南相馬市は行政からの理解もあり、資料費は震災後も減額されず、震災関連資料の購入を維持できているとのこと。


図書館と行政の相互理解、図書館行政の中長期の計画、職員の育成が重要であり、特に図書館員は選書する力が重要。値段が高くても、市民がいま必要とする資料、将来的に必要となる資料を揃えておく必要がある。(数十万円する国土地理院がヘリで空撮した写真なども購入)

 


市民(利用者)に寄り添ったサービスをしなければ、利用されない、期待もされない、問題も起きない(利用されなければトラブルや要望など何も問題が起きない?)、3ないになってしまう。他館を見ずして、自館の良さ、悪さはわからない。図書館職員は外に出ていくべきであり、そうしなければ時代に取り残されてしまう。南相馬市では学校図書館に職員を置くのではなく、図書館の職員を学校に派遣している。10数年前に比べ市民の図書館に対する注目は上がってきている。これから先を見据えてサービスを行っていくことが重要。

質疑の中で、震災後、大学や研究所などからいろいろな研究やアンケートなど調査があったが、それらの報告書は大学などにはあるかもしれないが、現地図書館にはほとんど届いていない。市役所の資料(行政文書)についても、何度も図書館に回してほしいと伝えているが、必ずしも届いているわけでない。また5年後、10年後、公文書の保存年限後、廃棄される資料を図書館でどのように収集するかなど、様々な問題点が指摘された。

パネル討論1:東日本大震災と福島-震災後の情報提供

<司会>

 鎌倉幸子(シャンティ国際ボランティア会 広報課長兼東日本大震災図書館事業アドバイザー)
<パネリスト>

 新出(白河市立図書館 副主任司書)
 早川光彦(南相馬市立中央図書館 副館長)
 吉田和紀(福島県立図書館 専門司書)

 

■新出氏(白河市立図書館 副主任司書)

白河市立図書館は、2011年4月オープン予定だったが、震災の影響で7月まで開館が延期となった。7月まで延期としたのは、8月は原発の関係で子供たちが外で安心して遊べない可能性があるため、7月までには開館したいという強い想いがあったとのこと。震災時、人的被害はなかったが、ガラスの破損などがあり、図書の落下被害にもあっている。


震災後、市民に必要な情報が溢れすぎて、どれが自分に必要な情報かわかない状態があった。また現地より外部のほうが情報を把握している状況などもあったとのこと。現在、震災原発コーナーを設けているが、おおよそ震災3割、原発7割の割合。震災直後は、漫画や音楽、映像資料の利用が多かった。

 
■吉田和紀氏(福島県立図書館 専門司書)
震災後、電気が復旧したのは3/15で、県立図書館として県内図書館の情報収集、現場把握に追われた。

 

外部からの支援もたくさんあったが、支援を受け入れる体制にあるかどうかも非常に重要である。利用者の反応も様々で、震災後もそのまま図書館に残ったり、翌日にも開館しているものと思って来館する利用者もいた。閉館している期間は、閉館している理由をホームページ等に明記したり、再開した場合も再開したとしっかり利用者に対して情報を発信していくことが重要である。

 

震災関係の記録として、避難所で掲示されたものや作成された資料の収集がなかなかできなかったこと、行政資料の収集が十分でなかったことが課題として挙げられた。

 

パネル討論2: オンラインデータベースの活用-その課題と可能性

<司会>

 岡本真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 代表取締役/プロデューサー)

<パネリスト>

 秋山栄二(読売新聞東京本社 メディア局データベース部)
 田中政司(株式会社ネットアドバンス ビジネスセンター ゼネラルマネージャー)
 新出(白河市立図書館 副主任司書)
 門間泰子(福島大学附属図書館 学術情報課主査(情報サービス担当))


■秋山栄二氏(読売新聞東京本社 メディア局データベース部)
ヨミダス歴史館は、全文検索に加え、キーワード検索も可能。英文記事もあり、健康問題や医療問題なども調べることができる。また過去の災害の情報も調べることができ、明治初期など写真がまだ普及していな時期では記者が現地で描いた挿絵などが使われており非常に貴重な情報源となっている。


就職活動などに対するサポートも充実しており、歴史のある企業など昔の広告なども参考になるはずである。例えば、花王の月のマークは、昔は現在の向きと逆であった。このうような情報も採用活動で活かせる可能性がある。


■田中政司氏(株式会社ネットアドバンス ビジネスセンター ゼネラルマネージャー)
JapanKnowledgeの利用実態について説明。集計期間は2013/04/01~2013/12/31。

公共図書館で最も利用の多い図書館では、ログイン数が6527回、サーチ数が23693回。2番目の図書館はログイン数が1314回、サーチ数が4739回。公共図書館平均では、ログイン数323回、サーチ数が1027回であった。

大学の場合、最も利用の多い図書館はログイン数が24943回、サーチ数が180454回。2番目はログイン数が19521回、サーチ数が157142回。大学平均では、ログイン数1039回、サーチ数が7436回であった。

 

利用の地域差は、公共では北海道と東海地区の利用が多く、大学では東京と近畿地区の利用が多くなっている。利用が少ないところは利用者への告知が十分でないこと、契約数が少ないためアクセスエラーを恐れて広報を積極的にやっていないこと、利用実績と契約規模が一致していないなどが考えられる。

 
■門間泰子福島大学附属図書館 学術情報課主査(情報サービス担当))
利用者は全文(中身)のあるなし、データベースで検索後にOPACを再度検索する必要があるかなど、アクセスのしやすさを重要視している。またアクセスする入口が別だったり、知らない機能は使わない傾向にある。

 

使い方を教えるだけでは使わない。情報の信頼性、検索の効率性を伝える。また、学生が調べようと思ったことはたいてい誰かが既に調べているので、しっかり調べる必要があることを説明する。そのうえで、いかに課題とつなげるか、卒業論文や先輩(教員)からの指導につなげるかが重要。

 

データベースの経費負担も課題。教員や学生のニーズと合っているか、統計だけで判断するのではなく、アンケートなどの実施やトライアルでニーズを探ることも重要。使い勝手をあげる方法としては、データベースの統合検索やOPACとの連携なども考えられる。


■新出氏(白河市立図書館 副主任司書)
公共図書館では調査研究を行う利用者が少ないため、利用頻度が低く、コストパフォーマンスを上げることが難しい。いかに認知度を上げるかが課題。またデータベース利用は、レファレンス業務のなかで職員による利用が多い。職員の研修を行い、レファレンス技能の向上とともにさらに活用できるようになるとよい。


契約、コスト面で、単館での契約が難しい。複数DBを契約することでお得な契約パックはできないか。地域コンソーシアムとしての契約なども期待したい。

白河市立図書館見学

2011年竣工しただけあって新しい図書館であった。公共図書館の割にシックなデザイン、家具となっており、ビジネスライブラリーのような雰囲気であった。写真は以下を参照。

 

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【ポスターセッション】

郡山女子大学

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福島大学附属図書館

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ふくふくネット

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羊図書館

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青山学院大学図書館 ・青山学院女子短期大学図書館

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東北福祉大学図書館

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防災科学技術研究所 自然災害情報室

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都全国市有物件災害共済会 防災専門図書館

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都留文科大学日向研究室・地域資料デジタル化研究会

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【感想】

図書館総合展運営協力委員として、前日入りして、最終打ち合わせから参加させていただいた。運よく、早川氏、新氏、門間氏と同席し、地元の情報をいろいろと話を伺う機会を得た。県内の様々な情報を聞いたが、特に印象的だったのが、県内でも浜通り中通り会津地方で文化が全然違うということ。歴史的な背景などもいろいろと聞いたが、やはり地元の人達の歴史感、古くから受け継がれている文化の違いというのは大きいということ。図書館総合展の地方開催は、こういった地域色を感じられるのが最大のポイントのような気がする。

 

本題のフォーラムでは、福島開催ということで被災地の現場で対応された方々の生の情報を多く聞くことができた。関東エリアで大地震が起きた場合、大学は避難所指定となっている場合も多く、前回以上に多くの市民などが大学(図書館)に避難してくる可能性は大いにある。

 

実際、被災地では図書館をはじめとする公共施設だけでなく、大学も避難所やボランティアステーションの設置場所となっている。また震災発生時の避難所としての役割だけでなく、震災後、避難者のための情報提供、資料提供の役割を大いに担っている。避難所自体に図書コーナーを設ける動きも多くあり、図書館が場と資料の拠り所となる。また職員自身も被災者となる可能性もあるため、通常より少ない人数でも最低限の対応ができる準備をしておく必要がある。


また今回、行政資料の扱い、大学で発行する資料・報告書等の扱いについて非常に考えさせられた。その点でいえば、今回はMALUI連携・MLA連携のところのA(アーカイブズ・アーキビスト)領域との関係性、協力体制を作ることが非常に重要であることをひしひしと感じた。たまたま、週末のアーキビストカフェでアーカイブズ領域が図書館総合展でできることを振り返り、意見交換していただけに余計に。

 

大学では白書などの刊行物は積極的に収集しているかもしれないが、いわゆる行政文書、公文書などの収集はあまりできていないのではないだろうか。公共図書館ではネット上の情報などでもプリントアウトして、ファイリングして並べているケースも多く見かける。大学図書館もそういった情報も収集していく必要があると感じた。


また公共図書館大学図書館の連携についても考えさせられた。大学の刊行物を地域の図書館にどれだけ届けられているだろうか。大学が地域にある公共図書館では大学の資料のコーナーを設ける図書館もある。大学が地域に根付いて運営を行っていくのであれば、資料寄贈などを積極的に行っていく必要がある。これまで見学したことのある図書館では、葛飾区立中央図書館は東京理科大学葛飾キャンパスのコーナーがあり、大学広報資料など非常に充実しており、地域に対して積極的に情報発信を行っていた。


後半のデータベースに関する講演では、福島大学の門間氏の学生指導の立場からの発言が非常に共感させられた。検索の仕組みや使い勝手など、ツール自体の改善も望まれるが、データベースの使い方だけでなく、インターネット検索との違いや重要性を伝え、利用者教育を行っていかねばならない。どれだけ説明しても十分に理解させることは難しく、現実としてはディスカバリーサービスや統合検索などワンストップで検索できる仕組みがないと、利用が上がらないのではという大学図書館員の抱くジレンマを代弁していたように思う。よりよい情報サービスと利用者教育をどうハンドリングしていくか、情報に対する知識に加え、教授法を身に付ける必要もあり、職員の資質がこれまで以上に問われる時代になっていることを感じさせられた。

 

図書館総合展運営協力委員としては、開催前まで集客が厳しいとの情報であったが最終的に約200名の参加があり、会場もほどよい満席感となり安心しました。会場となった白河市立図書館は、駅前と立地も良く、企業ブースとフォーラム会場が同一フロアで往来がしやすく、休憩時間など企業ブースが賑わっていた。特にお昼休みに企業から5分間のプレゼンタイムがあったので、よりブースに寄りやすくなっていて良かった。運営全体としては、だいぶスムーズで良かったのではないでしょうか。

 

次々回の新潟開催の現地担当のO氏も熱心に運営ぶりを偵察していたので、新潟も楽しみ。と、その前に5月18日(日)は、図書館総合展フォーラム2014 in 岡山。できればこちらも大学後輩の別のO氏が現地準備を頑張っているの応援に駆け付けたいところ。未踏の岡山大の訪問だけでなく、黒田官兵衛ゆかりの地でもあるので、福岡県民としても行かねばと思っているところです。

 

図書館総合展フォーラム2014 in 岡山    

 時期:2014年5月18日(日)

 会場: Junko Fukutake Hall (岡山県岡山市岡山大学鹿田キャンパス )

 テーマ:公共・学校・大学図書館の連携-地域をつなぐ図書館の役割

     ラーニングコモンズ

 

【その他の方々の報告など】

 

【2014年3月16日追記】